頭の中がウニですので。

本家ブログ(https://cissie.at.webry.info/)に書ききれない、長文になりそうなものを、こちらでひっそり書き連ねます。

コンクールに思う

昨日、1年遅れのショパンコンクールが終了した。

夜中に授賞式をちらっと拝見。

流石にガラコンサートまでは起きていられなかった(笑)

コンクール自体もチラチラとしか見ていないので、

これから隙をみてアーカイブで演奏を聴きたいと思っている。

 

今回は、予選から全てネットで配信されていたし、

日本人コンテスタントも漫画やアニメなどいろんな分野で既に名の通った人も多く、

今までのコンクールに比べて、注目度が格段に高かったような気がする。

 

 

何を隠そう、私はコンクールでのそれぞれの演奏を聴くのも楽しいけれど、

コンクール終了後数週間??くらい後でテレビで放映される

コンテスタントたちが準備するところからコンクール終了後までを

ドキュメンタリーにしている番組が好きなのだ。

学生時代はビデオに録画して何度見たか分からない。

学校の試験、コンクール等の前に、モチベーションをアップするためによく見ていた。

コンクールなどのお年頃から外れても(笑)

やはり時々見返すと、色々思ったり刺激を受けることが多々ある。

今年は やるのか知らないけれど^^; ぜひやっていただきたい。

 

それはさておき。

 

今回は、(あくまで私見だけど)今までに比べて

入賞者たちの意識が全然違うように感じた。

なんというか・・・

すでにコンクールのその先をちゃんと見据えてピアノに向かっているというか。

こんな有名なコンクール、一世一代の大勝負なのはもちろんなんだけれど、

だからと言ってここでダメだったらもう無理、

という悲壮感みたいなものを漂わせるのではなく、

(内心はそういう気持ちはあるだろうけど。)

ちゃんと先にある目的を見据えて

一つのステージをちゃんとやりきることに集中しているように見受けられた。

 

アーカイブ等で、実際に彼らが話してるのを聞いたり、

ニュース等で流れる彼らの言葉からしても

一昔前の、今はコンクールのことしか全く考えられません!!!

という感じがあまりないのには舌を巻いた。

私の・・子供と言ってもいい世代の若い彼らが。

私がその歳頃はどんなだっただろうと考えると、恥ずかしい限りである。

 

そもそも、私の世代というのはまだなんとなく、

コンクール受けに行って、賞をもらって演奏家になる!!!と公言する・・

なんてことは、ちょっと言い辛い風潮があった。気にしすぎかもしれないけれど。

今風にいえば、受けますと言ってしまうと、変に意識高い系に思われる。

表向きは、あくまで勉強のため、そんな理由で。

コンクールを受ける時は、あまり周りに言わず、

レッスン以外は一人でコツコツ準備する、という感じだった。

周りに、コンクールをガツガツ??受ける人があまりいなかったというのも

あるかもしれない。

まぁ、これには結果が芳しくなかったときもバレない、という利点はあるけれど(笑)

 

ある時、コンクール前のレッスンで、先生に

「なんのためにコンクール受けるの?」と聞かれた時、

またしても頭の中で、上記のようなことをぐるぐる考えてしまって

「コンクールのために練習することで、自分自身成長して。。」

と言いかけたところで、先生に一蹴された。

「コンクールで入賞して演奏家としてのチャンスを掴もうとみんなやってるのに

あんた何言ってるの?」

と言われて、初めて、

あ、そういうふうに言っていいんだ、と思ったのは忘れない。

大学も卒業した後の話。

 

今、ショパンコンクールを見ていると、みんな

コンクールをちゃんと自分の活動の足がかりにしようとすることを

隠すどころか、それに向けてちゃんと計画し、ものすごく努力をしているのが

羨ましくもあり、時代は変わったのね、とも思った。

音楽をやることとお金を稼ぐことを比例して考えるのは

なんとなくあさましい、芸術なんだから稼げなくてしょうがない、

という昔の・・美談のようなホントの話な考え方はもう古い。

・・・そんな、強さを持っていないと、今の世の中、生きていけないし、

そのくらいの強い思いがあってこそ、演奏に真摯に向き合っていけるのだろうなぁと

改めて学ばせてもらった。

 

余談だが

私自身も、コンクールはいくつか受けたけれど、

集中力が続かなさすぎて??、

一極集中!!!した後に、ポカミスをする、ということが多々あり、

結果は残せなかった。

いつぞやの某コンクールでは、審査員の通訳さんに二次予選後に

「すっごく惜しかったのよ~~」と泣きそうな顔で言われたことがある。

その時も、一番自信がない曲を、究極の緊張状態でむかえ、

その気持ちが功を奏してものすごい集中力で乗り切り、

その直後の曲で気が抜けて、最後の最後でミスをして、

審査の際はギリギリの線で競って落ちた、と聞かされた。

 

その際には本当に悔しくて泣いたけれど、

今では反省も含めて良い思い出。

コンクールで優劣をつけることは、いつの時代になっても賛否両論あるけれど

得るものもたくさんあるし、そこからいかに進んでいくかで

コンクールの是非はそれぞれ決まるのだと思う。

 

・・とはいえ人間、早々数年で完全進化するわけでもない。

素晴らしい演奏をした、今回のコンテスタントたちだって

スーパーマン、スーパーウーマンのような感じの才能の塊だけれど

まだ若く・・同じ人間なのだ。

 

たまたまオンタイムで見られた、小林愛実さんの本選、直前の舞台袖の様子が

映っていたけれど・・・

ネックレスを握りしめて祈るような表情をしているのを見たら

私まで心臓が痛くなってきた。

他のコンテスタントもチラチラ見る限り、

やはり直前の、緊張感と集中力と・・戦っている姿が

息が止まるほど見ていて苦しかった。

 

本当に、ほかの本番ではそうでもないのに、

コンクールの時の出番直前の緊張感ったらないのだ。

それはいつになっても、何歳でも変わらない、

というのがわかって、ちょっとホッとしたのだった。

 

 

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